風の伝説ザナドゥ プロローグ『英雄王アイネアスの伝説』

 

そは駆け来たり。そは天になく、地にもあらず。
そは燃ゆることもなく、流るることもなし。
聞け。かりそめの平和、偽りの力に溺れるものよ。
千年の時を越え、一陣の風吹き抜けるとき、
やがて、真実のみが残るであろう…。

 


一千年の昔。平和なイシュタリアに突然の災いが訪れた。

邪竜ダルダンディス。無限の魔力を秘めたクレーネの石を携え、恐るべき魔物の王が、暗黒の世界から飛来したのだ。

邪竜の魔の手は美しい大地を破壊しつくし、人々はどうすることもできないまま、逃げ惑った。

 

全ての者が絶望にうちひしがれる中、聖なる剣を携えた勇者アイネアスが現れた。

アイネアスは九日間に及ぶ長い戦いの末、見事、邪竜の眉間に聖なる剣を突き立てた。

人々は歓喜し、勇者を王として迎えた。

 

 

これが、4百年の歴史を誇るアステル王朝の幕開けである。邪竜のもたらしたクレーネの石は、王城の高みにそなえられ、イシュタリア全土をあまねく照らした。

すると、不思議なことに、世界中の人々が特別な修行もなしに、魔法が使えるようになった。農業、建設、交通…あらゆることが魔法化され、生活は飛躍的に豊かなものとなった。

 

そして、一千年の時が流れた。王都にはいくつもの王朝が興っては滅び、もはやアイネアスの偉業は伝説の中に埋もれた。


ただ、世界の果てサランダの峰にさらされた邪竜の骨と、その額に刺さったアイネアスの剣だけがいにしえの真実を今に残している…

 

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