風の伝説ザナドゥⅡ プロローグ 喪失の神話
喪失の神話がある…
遥かな昔、「先駆者」と呼ばれる者が世界を創造した。
やがて「先駆者」は、この世界を去るとき、二人の神を遺した。
破壊神ルーゴンと女神イシュタルである。
女神イシュタルは創造と平和を司ることで人間の進化のスピードを穏やかにし、
破壊神ルーゴンは破壊と混迷を司ることで停滞しがちな進化を加速させた。
二人の神は対極に位置し、互いを刺激しあうように存在していたのだ。
あるとき両者の間に戦いが起こった。
破壊神ルーゴンが、なぜ自分に戦いを仕掛けてきたのか、女神にはわからなかった。
二人の神は、どちらか片方の存在がなくなれば
もう片方も消えてしまうことを、よく知っていたからだ。
世界は混乱を極めた。
ルーゴンには闇の力があったが、イシュタルの光の力もまた強く
永劫に続くかと思われた戦いは女神イシュタルの勝利によって幕を閉じた。
砕け散った破壊神の肉体は世界の南へと落ちた。
こうして世界は安定したが想像を絶する戦いの傷跡は大きく、
裂けた大地は女神イシュタルの創造の力をもってしても
二度と元には戻らなかった。
しかし、破壊神は滅びたわけではない。
なぜならば、女神イシュタルが存在するということは、
破壊神ルーゴンも、未だ存在していることを示しているのだから…
(風の伝説ザナドゥⅡ取扱説明書, 1995, pp.4-5)