風ザナのⅠとⅡの違い、ソフィアというキャラクターの不憫な点

風の伝説ザナドゥ』はシリーズが進むごとに設定の移り変わりがあるのは周知の事実です。世界観もⅠとⅡで変わっています。今回はそのことや、それらに影響を食らったソフィアについて色々書いてます。

 

風の伝説ザナドゥ』発売当時、日本ファルコムでは『英雄伝説Ⅲ白き魔女』が大ヒットしていました。

白き魔女は今までの英雄伝説シリーズ(イセルハーサ編)とは違い、「特定の血筋の人間を英雄にするのではなく、普通の人間が英雄になれる」のがコンセプトです。白き魔女の大ヒットに伴い、それが後のファルコムの他の作品にも影響を与えました。風ザナもその一つです。

 

 

風ザナⅠでは、特定の血筋の人間や選ばれた人間でしかなしえないシビアな展開がありました。

・アイネアスの血筋のアリオスとジードしかパルティア神殿に入れない

・アリオスとソフィアしかかげろうの町に入れなかった

ただ、その理不尽さが風ザナの特徴です。

ドラゴンスレイヤー英雄伝説』では、あるアイテムを魚が飲み込み、それを釣った猟師は「魚から出てきたから自分のもの」と突っぱねて、そのアイテムを入手するために四苦八苦するはめになります。『ドラゴンスレイヤー英雄伝説Ⅱ』のジェラルドも最後まで横柄でふてぶてしく図々しいキャラで変わることはありませんでした。今で言うところのヘイトを一身に集める嫌われキャラですね。

風ザナⅠでも、賄賂をもらって工事を遅延させたバート、アリオスが死んでいればよかったと罵ったアルコン王、世界のために(ソフィア救出のために)プロスタを殺めさせようとした大神官ゼノビア、着服していたハラグロフ、通行させる代わりに賄賂を請求するバザロフ等、憎たらしい人物が数多く登場しました。

・憎たらしい人物が多い

・身勝手な人間のために四苦八苦するはめになる

・シビアな現実を突きつけられる(どんなに努力したって血筋には勝てない)

・下手すれば人死にを出す掟を作ったイシュタルは、自分の意志で掟をなくすことは容易だったのに、ソフィアの危機ですら高みの見物を決め込んだ

賛否両論ありますが、これらが風ザナⅠのブレない特徴であり作風であり魅力だったと思います。

 

 

ただし、風ザナⅡでは白き魔女に合わせたのか、設定による理不尽さや憎たらしい人物は見られません。

身勝手な人間によるフラグたてに奔走することもなく、スムーズにゲーム展開が進みます。面倒なフラグたてでストレスを感じることなく、緻密に描き込まれたゲーム画面やイベントでストーリーに浸れるようになっていました。

 

 

ただし、その路線変更の結果、犠牲になったのはソフィアというキャラクターです。それは風ザナⅠとⅡでの扱いの差に露骨に表れていました。

 

風ザナⅡでは、ソフィアは病気に倒れてしまったために、序盤の登場のみで、最後までお留守番要員でした。

元々、聖女のソフィアは立場上、おいそれとパルティアを留守にして出向くキャラではないので(風ザナⅠはある意味特別なパターン)、これは設定的に納得はできますが…。

 

・風ザナⅡ第五章で、聖女だけしか与えられない女神イシュタルの加護がメルティナに与えられた(これによってメルティナはソフィアと同様の力を得た)

・風ザナⅡ最終章で、ドラゴンスレイヤーが破壊神ルーゴンの力に反応して、ソフィアなしに覚醒した

 

これらによって、ソフィアの存在意義はかなり薄くなってしまいました。特に、メルティナにイシュタルの力が容易に与えられたことについては、納得できませんでした。

 

 

風ザナⅠでは、イシュタルは姿を見せることも救いの手を差し伸べることもなく、終始高みの見物という冷たい対応でした。それはソフィアでも例外ではありません。

風ザナⅠ第六章では、ソフィアの安否と救出を巡って、様々なイベント(とフラグたてによる奔走)が起こりますが、ソフィア、メディア、プロスタ等、イシュタルの聖女や神官はこれでもかというくらい大変な目にあいました。

 

・パルティア神殿にジードが攻め込み、神官たちは洞窟で避難生活、神官騎士メディアはジードの金縛り魔法で苦しめられる(場合によっては長期間)、ソフィアはジードに追いつめられて窮地に陥った

→メディアはアリオスたちによって解呪、ソフィアはアイネアスの霊が墓所に匿ってジードから守った

 

・パルティア神殿の扉を開けられる「扉の司」である神官プロスタが、アリオスを迎えに行く途中にモンスターの襲撃で重傷を負い、パルティア神殿に残されたソフィアを一刻も早く救うために、プロスタには死んでもらうしかなくなり(プロスタが生きているかぎり扉の司を他の者に任命できない掟のため)、大神官ゼノビアはプロスタを殺してくれるようにアリオスに毒草を渡す

→マザー・フィリアの機転でプロスタは殺されずにすんだ

 

・風ザナⅠ七章クリア時にソフィアがジードにさらわれて氷の塔に監禁された

→アリオスたちに助けられた

 

イシュタルを信仰して長年仕えてきたソフィアとメディアとプロスタの危機に、イシュタルは姿を現さないばかりか、救いの手を差し伸べようともしませんでした。

プロスタは神官の務め以外は興味を持たないほど敬虔な信者、メディアは神官騎士としてイシュタルを信仰してソフィアを守護して支えてきた、ソフィアは聖女としての役割を長年立派に果たしてきたにも関わらず…です。

プロスタが殺されそうになる原因となった「扉の司」等のパルティア神殿の掟は、イシュタル自身が作ったもので、イシュタルの意志でそれをなくすこともできたはずでした。また、イシュタルがパルティア神殿の扉を解放して誰でも入れるようにしてくれれば、すぐにアリオスたちがパルティア神殿に入って、ソフィアとメディアを助けることもできました。

 

風ザナⅠ第七章クリア時に、ソフィアがジードによって拉致されたときは、ジードがソフィアを従わせるため無理矢理に…という、PCエンジンゲーム「コズミック・ファンタジー2」のラーラのように、力ずくでジードの妻にされてしまう最悪の事態もあったかもしれないのです。

参考までに「コズミック・ファンタジー2」のイベントシーンより。

ラーラはガラムに拉致されたあげく、力づくでガラムの妻とされてしまい(ラーラを妻にした者は不老不死をはじめとする絶大な力を得ることができるため)、主人公バンが助けに駆けつけたときには時すでに遅し状態でした(一般RPGNTRという、大勢のファンの心を折ったトラウマイベント)

ジードに拉致されて氷の塔に監禁されたソフィアも、その美しさと生まれ持つ力から、ラーラみたいな目にあっていたかもしれない(女性としてもっとも酷く屈辱的な仕打ちを受けた)と思うと、なおさら、ソフィアに救いの手すら差し伸べなかったイシュタルには憤りを感じます。

 

ソフィアですら、イシュタルの冷たい放置によって大変な目にあいました。だからこそ、風ザナⅡのメルティナ優遇は考えれば考えるほど、とうてい納得できませんでした。

 

メルティナは風ザナⅡ第五章のイベントで、イシュタルから加護を授けられました。

パルティアでソフィアに次ぐ地位と力を持つ神官騎士メディアがピンチヒッターとして、一時的にイシュタルの加護を与えられるならまだ納得できます。

メルティナはたいした苦労もせず(水晶宮にもアリオスたちに守られながら連れられて行っただけ)、ちょっと祈っただけであっさり女神イシュタルの加護を与えられてソフィアと同様の聖女の力を使えるようになりました。

風ザナⅠのしつこいまでの試練(フラグだて)や理不尽さを経験してしまうと、もっと言えば、ソフィアの立場を考えると怒り心頭でした。

 

今までイシュタルを信仰してなかった(ランディス曰く「(アシュナール)大陸では女神を信仰している者はほとんどいない」とのこと)、一般ピープルのメルティナの祈りで(メディアの言うようにきちんとした装いでもなく儀式を行ったわけでもなく)、あっさり降臨して力を授けた。こんなにあっけなくていいの?、風ザナⅠで大変な目にあったソフィアやメディアやプロスタは?…と思わずにいられません。

さらに、風ザナⅠ終盤で、北風がアリオスに渡した重要アイテム「イシュタルの石」まで渡すという…。ここまで神対応できるなら、病気で苦しんでるソフィアを回復させて、ソフィアをアシュナールに派遣しろよと。

あからさまに言って、メルティナイラネと思ってしまうほど、メルティナのVIP待遇は異常なんですよね。随所で「気立てがよくて可愛いメルでき・ま・り♪ 俺もスキーv」「メルティナ良い子なんだZEE」アピールがあからさまで。すべてがメルティナの都合よくできているというか、まさにメルティナの存在が風ザナⅠとⅡの違いや風ザナⅡを象徴しているというか…。当時の人気声優椎名へきるがメルティナのCVを担当していて、スタッフも思い入れも強かったのかもしれないです。ただ、メルティナが歌姫設定なのに、椎名へきるが風ザナⅡのイメージソングを担当しなかったのは、多分椎名へきるのギャラが高かったと推測。

 

 

メルティナの件ほどではないですが(こっちはソフィアの存在意義の根幹に関わる大問題なので)、ソフィアは風ザナⅡでお留守番ということで、ピュラーとアリオスが親しい感じに描かれていたことも、不憫だと思う点の1つですが、こっちはアリオスがピュラーに対して恋愛感情をあらわにしなかっただけまだマシです。

ピュラーは出番は増えて、Ⅰと違ってⅡでは最終戦直前までアリオスに同行できましたが、最後はアリオスに帰されてしまいました。

結局、ピュラーに関しては、

・最終戦でアリオスの傍らに立つほどの存在にはなれなかった(ソフィアはドラゴンスレイヤーとして最後まで共に戦った)

・リュコスから「ピュラーちゃんがお似合い」と言われたが、アリオスは結局ピュラーに関して、最後まで恋愛対象とは見ず、恋愛に進展しなかった(シェリルのイベント中に眠るピュラーを見て、「何故だろう、切なくなるのは?」と少しそれっぽい台詞を言ってましたがそれだけ)

・その後もアリオスの恋愛対象として描かれる場面がなかった(「CDドラマ風の伝説ザナドゥⅡヒロインたちの誕生日」でも「アリオスだーいすき」と言って終わりで、その後のドラマでも進展はなかった)

終戦でアリオスに同行を許されずに帰らされたことが、ソフィアとの違いを表しています。

それにピュラーは「メルティナいい子なんだZEE」アピールの引き立て役にされてる場面が何度もありました。

・第四章クリア後にピュラーが「水晶宮に行くなんて危ないから無理!」と言って「そんな…」とメルティナ涙声でかわいそうアピール

水晶宮の入り口で会ったマーカストにキレそうになるピュラーに「あの人は悪い人じゃありません、許してあげて」と優しさアピール

タイムアタッククリア時(メルティナ&ピュラーコンビでクリアした時)、メルティナは鳥たちが周りを飛び交って祝福しているのに対して、ピュラーはコウモリにまとわりつかれて悲惨な目に合う

それを思うと、お留守番だったソフィアはメルティナの引き立て役に利用されなかっただけ、まだ救われてます(「CDドラマTARAKOぱっぱらパラダイス」でソフィアを気遣うメルティナに八つ当たり気味にソフィアが怒りを向けた場面くらい)

それに風ザナⅡ以降、ピュラーは一生懸命だけどわがままぶりが目立つので、いかがなものかと思いました。外見はすごく可愛くなったんですが、性格がわがままになったのが残念です。

 

前述のように、「CDドラマ 風の伝説ザナドゥⅡヒロインたちの誕生日」でも、ピュラーはアリオスに「だーいすき」と言ってましたが、「衝撃の告白ダイモスの誕生日」でアリオスの恋人(的存在)にあげられていたのは、ピュラーではなくソフィアです。

恋愛的には、よくよく見れば、別にピュラーがアリオスと結ばれたわけではないし(出番多いですがあくまでアリオスの妹分みたいな存在)、ソフィアが恋人候補としてあげられていたので、これはまあいいかと思いました。

あえてあげるとしたら、「CDドラマ風の伝説ザナドゥⅡ ヒロインたちの誕生日」でのソフィアの誕生日ドラマ「第2話ソフィアの誕生日」が中途半端な結末だったのが残念でした。

ソフィアが一途で感情豊かな恋する乙女として描かれた点は可愛くてよかったのですが(正確な年齢や聖女設定についても知ることができましたし)、アリオスといい感じに描かれることはなく、ピュラーとアリオスを奪い合って喧嘩して終わりでした。

せめて、パーティーの最中にそっと抜け出したソフィアが、同じく抜け出していたアリオスと二人きりになって、「アリオスは年上の女性はお嫌い?」と聞くソフィアに、アリオスが笑って「ソフィアなら年上でも年下でもかまわないよ。私はソフィアが好きだから」と言って、安心したソフィアが「ありがとうアリオス」と喜んで、この直後に精霊クルルの力で転びかけたソフィアをアリオスが抱き止めて、抱きしめられたソフィアがアリオスに「もう少しこのままで…お願い」と言っていい雰囲気に…な場面でしめてほしかったなあと思います(妄想さく裂)

精霊クルルの力ではなく、アリオス自身にソフィアに「年上でもかまわない」と言ってあげてほしかったですね。

元々、ダイモスとアリオスのBLでしめるつもりだったから、ソフィアのドラマもピュラーのドラマも、どちらも中途半端な結末にしたのかもしれないですが。

 

風ザナⅠでイシュタルの放置で散々な目にあったり、風ザナⅡで存在意義を奪われたり、諸々の事情で不遇な扱いを受けたソフィアですが、そういったところがあるからこそ、なおさらいとしく思いました。

 

ソフィアはキャラデザインでもとても斬新で美しく、風ザナⅠの鎧姿に魅入られたファンも多く、「風ザナはやったことないけどソフィアのデザインは好き」という人もいました。やはり「人間見た目が九割」で、キャラもデザインがいいにこしたことはないので、そういった点でもソフィアは恵まれていました。

ソフィアが登場したのは、風ザナⅠ第六章(後半に差し掛かった辺り)という遅い出番でしたが、キャラデザインの秀逸さとその後の見せ場の多さによるいわゆる「ヒロイン補正」にも救われていました。

風ザナⅡではソフィアは序盤のみの登場でしたが、序盤最後ではイシュタルに祈りを捧げてアリオスの無事を祈っていたり(正妻感出してたし)、オープニングデモでは最後の方で存在感を見せつけていましたし、エンディングのスタッフロールでは最後のトリを務めていました。

またタイムアタックモードでも、アリオス一人でクリアしたときは、「アリオス素敵~かっこいい~!」なエールを送っているソフィアが見られます。

それを思うと、メルティナの件を除けば、ソフィアはヒロインとしてきちんとそれなりの待遇と扱いは受けていると思います。

元々恋愛ゲームではないので、アリオスとの恋愛が描かれないのは、あくまでファンの想像に委ねる形だったのでは…と推測。気になったソフィアの恋の結末は、CDドラマで失恋した形で終わりました。

イシュタルの加護の専売特許をメルティナに奪われたり、アリオスへの恋は失恋するなど、ソフィアはたしかに不憫なところもありましたが、今でも「ソフィアが大好き」という人もいて、キャラクターとしてのソフィアは今でも愛してくれてるファンに支えられていて幸せだと思います。

 

 

風ザナリメイクが作られるとしたら、オリジナルの理不尽さはどうなるのか…。風ザナⅠのしつこいフラグたては、大量のゲームが気軽にプレイできる昨今は、多くのプレイヤーにはとうてい受け入れられず、投げ出してしまうか、プレイ動画で終わらせる人が多いと思われます。

 

私としては

・Ⅱのスムーズに進める展開をⅠにも適用し、スムーズに進むための納得できる演出や展開を見せる。

・リメイクするなら風ザナⅠのみでⅡに関してはふれない(もしくはⅡでもソフィアは病に倒れることはなく、後半でメディアと共にアシュナールへ渡ってアリオスのもとに参じる)

・続き物にはしないで、1作品ですべて完結させる(ラスボスはダルダンディスではなくルーゴンにして神々の巣立ちまで描き切る、ドラゴンスレイヤーが単体で目覚めてもソフィアは最後までアリオスと共に戦う)

という形にすれば、ソフィアの立場や名誉も守られると思います。言うだけタダなので書きました。人の意見は様々ということで。

選ばれた血筋ではなく、みんなが世界を救う英雄になれる…という路線変更はいいのですが、風ザナⅠの重要人物だったソフィアの扱いをあそこまでおざなりにすることはなく、なんとかうまいぐあいにフォローして描けなかったのかなあと。一般市民がたいした苦労も代償を払うことなく、あっさり聖女の力を使えるようになるなんて、あまりのVIP待遇とキャラ贔屓にドン引きします。

 

 

 

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