ピュラーが当時人気だった理由について

風ザナのヒロインにして風ザナの顔として有名なのはソフィアですが、当時はピュラーがダントツで一番人気でした。現在はすっかりフェードアウトしていて、風ザナを見聞きした程度の人は「ピュラー?誰それ?」な状態です。そんなピュラーが当時ソフィアを差し置いて人気だった理由について、筆者なりに考えたことを書きます。

 

 

ピュラーは風ザナのサブキャラクターでパーティーメンバーの一人。

 

こちらは風ザナⅠのピュラー。ショートカットで半ズボンの活動的な外見をしています。

ただ『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』のソニアの下位互換(もっと言えば劣化版)みたいなデザインでした。

以下は『ドラゴンスレイヤー英雄伝説』のソニア。

 

はっきり言って、ピュラーのデザインは、ソフィアのデザインの秀逸さには遠く及びません。ただ、脇役がヒロインよりも優れたデザインというのは問題ありなので、これは妥当なデザインでしょう。

 

参考までにソフィアとピュラーを並べてみます。

ソフィアとピュラーを比較すれば一目瞭然。大半はソフィアを選ぶことでしょう。それだけソフィアのキャラクターデザインは優れて際立っていました。

それは第一印象の人気投票(発売前の人気投票)でも証明されています。

この数値を見れば、デザイン的にソフィアがピュラーに劣っているわけでもない、むしろ圧倒しているわけです。なのに、何故ピュラーがヒロインのソフィアを圧倒する人気を得たのか。それはピュラーの出番が早かったこと、ピュラーが好かれたり彼女に思い入れが深くなる数々のイベントがあったことです。

 

 

ピュラーの登場は第三章からで、ヒロインのソフィアが登場するよりずっと早く登場します。

第四章で正式にパーティーメンバーに加入して、アリオスと行動を共にします。

元気で活発で屈託ない言動のピュラーはいわゆるムードメーカー的存在でもあり、早くから登場するだけあって、プレイヤーはおのずと思い入れが深くなります。

第四章クリア後に、ヘルガに「あんたこそアリオス様をしっかりつかまえておくんだよ」と言われて、アリオスへの想いを指摘されて動揺するピュラーが見れました。

動揺するピュラーを見て、おおっと思った人多いと思います。

 

 

第五章ではピュラーはさらに大活躍。

フラグたてのパシリに疲れていたプレイヤーには、爆薬代をチャラにさせたピュラーの機転にほっとした人多いでしょう。

 

 

またアリオスを励ましたりする場面もありました。

前向きな彼女の言葉にどれだけ救われたことでしょうか。

ソフィアは普段は一歩後に控えていて、いざというときに前に出て支える奥ゆかしい姉さん女房タイプですが、ピュラーは積極的に前に出てぐいぐい引っ張っていく姉さん女房タイプですね。

 

 

そして第四章で神女ヘルガに恋心を指摘されたピュラーがアリオスに対して意識しているかのような場面も見られます。

落ち込むアリオスを励ますピュラーは、最後に意味深な態度を見せます。

はっきりとは言わずごまかすピュラー。恋愛は気持ちをはっきりと伝えないのはNGですが、今ここで好きだと告白したとしても、不発に終わったことでしょう。

アリオスは一貫して、ピュラーのことはそういった対象として見てなく、妹分的存在として見ていました(実際はピュラーが年上なのですが)

アリオスは平和を守るという使命感と正義感あふれる性格なので、誰かと添い遂げて所帯を持つタイプではないので(ソフィアも同じく)、好きだと告白されたとしても、風ザナⅡのシェリルのように断ると思います。




また、ピュラーがアリオスの恋人だと勘違いされる場面も見られました。

花火師グリーグはピュラーのアリオスへの恋心を察していた様子。対して、アリオスは全然気づいてないことが描かれてました。


 

フクロウじいさんもアリオスとピュラーの関係を勘違いしていて、ピュラーが罠にひっかかって穴に落下したときのアリオスの様子を楽しむ悪趣味ぶりを見せていました。

ピュラーは落ちても大丈夫という確証があったのかもしれないですが、アリオスの反応は当然であり、悪趣味極まりないですね。こういったクセの強い(悪く言えば憎たらしい)キャラもドラゴンスレイヤーキャラの特徴です。

第五章でのこういった描写の数々から、ピュラーの活躍ぶりと恋に応援したくなったり、アリオスとの関係がどうなるのか気になったファンは多いです。

 

 

しかし、第六章ではソフィア登場により、ピュラーはパーティーメンバーを外されて、それ以降ピュラーの出番は減っていきます。

 

そして第七章では師匠で育ての親エナス賢者の危機に慌てるピュラーと、彼女を止めようとするアリオスとの間でひと悶着ありました。

アリオスに怒りをぶつけてピュラーは一人行ってしまいます。恋愛ものでよく見られるすれ違い描写です。

 

 

さらに第九章では、ソフィアとピュラーが衝突する場面もありました。

アリオスとソフィアからの連絡が途絶えたことを心配して探し回っていたダイモス、メディア、ピュラー、ヌース。

ピュラーはようやく戻ってきたアリオスにイラっとして突き飛ばしてしまいます。

それを見て驚く一同。メディアたちが自分たちを心配して探し回っていたことを知らないソフィアは、ピュラーが一方的にアリオスを突き飛ばしたと思って、ピュラーに乱暴だと叫びます。

 

この場合、定期連絡を怠ったソフィアとアリオスに非があるので、自分たちを心配していたメディアたちの苦労を知ってすぐにソフィアは謝っていました。

 

ピュラーの唐突なこの行動、ピュラーが憎まれることはなかったのは、今までの積み重ねと活躍あってのことでしょう。

第五章でピュラーの存在やアリオスとの関係を散々アピールしておいて、第六章以降の落としぶり…。これにもやもやしたファンは多かったです。実際、風ザナの同人誌でも、そのことに触れている作家もいました。

 

ピュラーとソフィアは、例えるなら『ドラゴンクエスト天空の花嫁』のビアンカとフローラみたいなもので(ビアンカがピュラー、フローラがソフィア)、一途に主人公を支えてきたビアンカをないがしろにして、ぽっと出のフローラを推しまくるみたいなものです。

ただソフィアは風ザナⅠのキーマンなので、ソフィア登場以降、ソフィアの活躍と出番が増えるのは必然でこれは仕方のないことで、アイネアスの血筋でもなく聖女でもない普通の人間だからという理由でピュラーが報われない理不尽さもまた風ザナの特色の一つです。

 

他記事でも書いてますが、風ザナⅠはとてもシビアな世界観で選民思想な世界です。

・神に選ばれた者、特別な血筋でないとなしえないことだらけ

・凡人はどんなに頑張っても努力しても報われない

それを顕著に示したのが、第九章でした。

第九章終了直前、かげろうの町へ行くべく、別行動をしていたアリオスたちはかげろうの町が通過する地点に全員集合します。

合流したアルゴスを見て、ピュラーは「よかった、みんなでかげろうの町へ行けるわね。」と安心したように言います。

しかし現実は残酷でした。

「みんなでかげろうの町へ行こう」そう思っていたのに、かげろうの町に入れたのはアリオスとソフィアだけでした。

このことにショックを受ける面々。

ヌースは「我らの主人は普通の人間とは違う。ここまで仕えることができたことだけでも幸せだった」と割り切ってましたが、ピュラーはショックで納得できず、リュコスの言葉「俺たちは俺たちなりに邪竜と戦えばいいのさ」に、ようやく「そしたら、また、アリオスに会える?」と言います。

「うそ・・・どうしてなの?」

「みんなで、みんなで戦おうって、誓ったのに」

ピュラーの台詞こそ、風ザナ世界の理不尽さに対するプレイヤーの代弁。だからこそ彼女に共感し、同情による支持も得ました。

第六章でも、新官プロスタを毒殺するように言った大神官ゼノビアに対し、ピュラーは怒って泣きながら「大神官なんて大嫌い!」とヌースたちに話していましたが、この場面でも、プレイヤーの多くがピュラーの気持ちに同意して彼女に共感したことでしょう。こういったイベントの積み重ねで、ピュラーはプレイヤーの心に深く残り、喜怒哀楽を共にして愛されたキャラクターになりました。

 

早くから登場して、アリオスと行動を共にして支えてきたにも関わらず、ヒロイン登場で存在をないがしろにされたピュラーは『ドラゴンクエスト天空の花嫁』のビアンカみたいな存在(フローラを選んだ場合のビアンカ)と言えましょう。

ビアンカと違う点は、ピュラーにはビアンカのようなヒロイン補正や露出の多さ(パッケージイラスト等で主人公と一緒に描かれている)、フォローがなかったことです。ビアンカはフローラを選んだ後も主人公を思って独身を貫いて生きた…という、ビアンカを選ばないと後味が悪いと思わせるヒロイン補正があり、そう思わざるをえない思い出や積み重ねもありました。

ピュラーも思い出や積み重ねはありましたが、ヒロイン補正はなく、ソフィア登場後はパーティーメンバーからも外されてしまい、出番も減りました。後から出てきたフローラがゴリ推しされた感じですね。

一途な思いも頑張りも一蹴された…そういったピュラーの不憫さにファンは彼女を同情し、さらなる人気を得たのでしょう。

 

 

Ⅱでのキャラクターデザインの一新や出番の多さはそれを受けてのことで、ピュラーがさらなる人気を得たのも、外見補正による要素もおおいにありました。

だからこそ、ピュラーは人気投票でも1位になれたんだと思います。やっぱり人間もキャラクターも見た目が9割です。

 

しかし残念なことに、この風ザナⅡデザインでのグッズは少なく、この風ザナⅡデザインのピュラーがファルコム関連書籍に収録されることもなく、結果的にマイナーでした。

後に『VM JAPAN』にゲスト参戦したときのピュラーのデザインは風ザナⅠデザインでした。多分「風ザナではピュラーが人気あったから」という理由での抜擢だったんでしょうが、ピュラーのどういった点が受けて人気を博したのか、需要や受けについて理解の乏しいスタッフや担当者にあたってしまったのはピュラーにとって不幸であり、グッズや他作品出演時に風ザナⅡデザインが起用されていたら、ピュラーの現状は多少は違っていたでしょう。

 

風ザナⅡ発売から年月が過ぎるにつれて、ピュラーの人気は失われていきました。

アトリエ彩の『ファルコムヒロインズ(ファルコムゲームのヒロインたちを立体化したフィギュア)』で、ソフィアがフィギュア化されたときは「ピュラーじゃなくてソフィアを選んだのはGJ(ピュラーはどうでもいい)」と掲示板で書かれる始末。

 

ファルコムヒロイン総選挙でもピュラーはソフィアより下位でした。この選挙自体、やり方によっては複数票投じるのは可能で、表示順が早いキャラが有利というのもあって、結果を見るにつけ、公平な人気投票ではないのですが(フィーナが3位にランクインしたのは彼女が一番に表示されて目立ってるのもおおいにありました)、熱心に応援するファンがいるか否かを見るバロメーターにはなってました。

 

2023年現在では、ピュラーはすっかりフェードアウトして、ソフィアが風ザナキャラの代表としてクローズアップされてます。それはファルコム記念イラストに風ザナで唯一ソフィアが抜擢されていることからも明らかです。

やっぱりキャラクターは見た目が重要ということを顕著に表している例であり、ピュラーはソフィア(のデザイン)に劣るということが証明されてます。

 

 

ゲームをプレイした人にはピュラーは受けたとしても、年月を過ぎると忘れ去られていくものであり、風ザナをプレイしたことはない人たちが興味を引くのはキャラクターの見た目(キャラクターデザイン)や設定文の内容であり、その点ではソフィアが圧倒的に有利です。ソフィアは彼女のデザインに惹かれて、風ザナ未プレイでもソフィアのデザインが好き!描いてみたい!という作家も多く、ファンアートでも数多く描かれています。Pixivでは専用タグでの投稿は少ないものの、他作品のまとめ等でソフィアのファンアートが見られます。

 

このことから、ピュラーはゲームをプレイしてこそ惹かれるタイプのキャラクターで、見た目だけではまったく受けないキャラクターなんですね。

 

まあ、長々書きましたが、

 

長い目で見ると、キャラクターはやっぱり見た目が重要

 

ソフィアのキャラクターデザインはまさに神であり、時代を超えても愛されて支持されています。ピュラーも風ザナⅡデザインなら、ソフィアほどではなくとも、それなりにファンアートでも描かれたり、フェードアウトした現状と違っていたことでしょう。

以上のことから、ピュラーは風ザナⅠデザインばかり採用されてしまった結果、ファンからは忘れ去られてフェードアウト、風ザナを知らないファルコムファンからは総スカンを食らった、大変残念なキャラクターだと思います。

 

 

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